シャンソン愛

峰艶二郎(みね えんじろう)による、シャンソンについて綴るブログです。著書『戦前日本 シャンソン史』(1500円.完売)。htmt-mth@ezweb.ne.jp

2021-06-17から1日間の記事一覧

薩めぐみ

シャンソンという鎧ー薩めぐみ Ⅴ(完結)薩めぐみは、自身が作詞し、細野晴臣がアレンジしたテクノ調の楽曲「シリコンレディー」によって、移民として、そしてシャンソン歌手として生きる鎧を手にいれた。この鎧が最も効果をもたらしたのは、1986年発売の4枚…

北村維章

調和の美ー北村維章のタンゴ日本のシャンソンの古い資料を見ていると、「当時、日本最大のタンゴとシャンソンのオーケストラのバンドマスター」の北村維章(きたむらこれあき)という人の名前を目にすることがある。北村維章は、1919年に鹿児島生まれた。旧制…

北村維章

調和の美ー北村維章のタンゴ Ⅱ前回、北村維章のアルゼンチンタンゴのアルバムを紹介し、コメント欄に「コンチネンタルタンゴも聴きたい!」と書いたら、早速願いが叶った。 昨日、出先でレコードの投げ売りコーナーを見つけ、『哀愁のコンチネンタルタンゴ』…

宇井あきら

『シャンソン・ド・パリ』、そして宇井あきら『シャンソン・ド・パリ』(昭和37年 水星社)という、ソノシート4枚組を手にいれた。資料としても興味深いものなので、紹介したい。デデ・モンマルトル 「枯葉」 「巴里の悪戯っ子」 ビショップ・節子 「詩人の魂…

美空ひばり

美空ひばりとシャンソン今日は美空ひばりの命日。私は小学生のときから、ひばりちゃんの歌が好きだった。ひばりは歌謡曲だけでなくジャズや端唄なども歌いこなしたが、シャンソンだけはレコードに吹き込まなかった(「愛の賛歌」「薔薇色の人生」などはレコー…

ジョルジュ・ムスタキ

ジョルジュ・ムスタキと船村徹 (告知あり)「私の孤独」「時は過ぎていく」などのシャンソンで知られるシンガーソングライター、ジョルジュ・ムスタキ。そんな彼が、美空ひばりのカバー曲だったことはご存知だろうか。 そのキーパーソンは、作曲家・船村徹。…

青木裕史 (青木清)

仕事にやりがいを見つけるー青木清「みちのく慕情」先日投稿した動画で大塚博堂のことを話しました。その時、シャンソン歌手の青木裕史さんが博堂の曲を歌っていたのを思い出し、氏のホームページに行ってみました。そこで「えっせい」というページを見つけ…

ジュリエット・グレコ

女性シャンソン歌手のジュリエット・グレコ(Juliette Gréco)が死去したという。享年93歳。 数年前に引退を公言し、日本でもコンサートが開かれる予定だったが、本人の体調不良で中止になり、そのまま音沙汰がなかった。 今年の7月、フランスの雑誌にグレコの…

平乃たか子

反・家出少女の哀歌ー平乃たか子東京を中心とするシャンソン界が、日本におけるシャンソンの普及を目的とする一方、名古屋のそれはフランスで通用するシャンソン歌手の育成を目的としている。名古屋が、日本とフランスの歌手の交流を図る「日仏シャンソン協…

黒崎昭二

遥かなる友ー黒崎昭二日本各地のシャンソンの動向について調べていくなか、これまで東北地方はノーマークであった。しかしながら先日、 黒崎昭二『シャンソンと私』 (昭和59年、自費出版・非売品) を入手し、秋田県におけるシャンソンの盛況ぶりを知ることが…

中当ユミ

妖精のカンツォーネ 中当ユミ今回はイタリアの流行歌・カンツォーネについて。日本のシャンソン歌手は、シャンソンだけでなくカンツォーネもレパートリーにする者が大半だ。そのきっかけは、私が調べた限りでは、カンツォーネ歌手の荒井基裕にあると思われる…

黒崎昭二

続・遥かなる友 黒崎昭二以前紹介した、シャンソンを愛し、地元の秋田県でラジオ番組のDJを長年つとめていた黒崎昭二さん。彼のラジオ番組を録音したテープを、シャンソン歌手の水織ゆみ様より謹呈いただきました。この場を借りて、御礼申し上げます。今回頂…

乾宣夫

薔薇の棘 乾宣夫作家の三島由紀夫が没後50年とのことで、テレビで彼を特集する番組を観た。 そのなかで、三島の次のような肉声が流れた。「自分が小説を書くのは、社会を敵と見なす一方で、その社会に認められたいからだ」彼の創作の源は、鹿苑寺金閣のよう…

沢庸子

銀座のミューズ 沢庸子先日亡くなったジュリエット・グレコ(Juliette Gréco)は、パリのサンジェルマン・デ・プレで実存主義の文化人たちに愛されたが、かつて日本のシャンソン界にも文化人のミューズとして君臨した歌手がいた。沢庸子である。本名、井沢庸子…

青木裕史

12月19日、シャンソン歌手の青木裕史(あおきひろし)さんが亡くなりました。 ご冥福をお祈りいたします。以前、私はFacebookで青木さんが「青木清」の名義で発売したレコード「みちのく慕情」を紹介したことがありました。この楽曲の存在は、青木さんのホーム…

なかにし礼

昨夜のクリスマスイブは、シャンソニエ「蛙たち」の、ライブ配信を観て過ごした。 自宅にWi-Fiがないため、今まで配信は遠慮していたが、昨日はたまたま出先のWi-Fiを使って観ることができた。その配信で、トリをつとめた笠原三都恵さんが、珍しいシャンソン…

薩めぐみ

再び、シャンソンという鎧ー 薩めぐみ再考 Ⅰ昨年の外出自粛期間は、札幌出身でパリに渡って活躍した歌手・薩めぐみの研究に没頭した。「シャンソンという鎧ー薩めぐみ」 ①https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=621868818399966&id=100017305596421 ②…

薩めぐみ

再び、シャンソンという鎧ー 薩めぐみ再考 Ⅱ1970年に日本からフランスに渡った薩めぐみは、石井好子のツテでパリのライブハウスで歌い始める。そこで、彼女は1920~30年代のシャンソンに傾倒していく。 彼女が戦前のシャンソンを歌ったのは、日本で「シャン…

薩めぐみ

再び、シャンソンという鎧ー 薩めぐみ再考 Ⅲフランスで歌手活動していた薩めぐみは、詩人のジャック・プレヴェール(Jacques Prèvert)に作品の使用権を認められ、それをもって製作したファーストアルバム「ジャック・プレヴェール」で、頭角を現した。そして…

ダミア

フランスのシャンソン歌手、ダミア(Damia)の最後のレコードは、昭和28年に日本でレコーディングされ、発売された。 この年、ダミアは来日公演を果たし、1ヶ月かけて日本各地でコンサートを催した。そして、コロムビアレコードの東京スタジオで4曲のシャン…

木月京子

ふと、札幌出身のシャンソン歌手について調べてみた。すると、木月京子が札幌出身者であることが分かった。木月京子は、昭和22年札幌生まれ。PL学園音楽科卒業後に、サンケイホールでリサイタルを開いて、デビューした。同時に、レコード会社の専属歌手にな…

「装苑」「芸術新潮」

最近発売された月刊誌で、シャンソンについて記されたものが数誌あるのでご紹介します。『装苑5月号』では、女優の古川琴音さんによる「古川琴音が装う、シャンソンの調べ」という特集が組まれています。古川さんは、お若いのに1940~60年代のシャンソンをお…

シャンソン喫茶「モンルポ」

世のコレクターの中には、マッチラベルを収集する方々がいるという。 今でこそあまり見かけないが、私の子どもの頃は宣伝用のマッチが店のレジの横などに置かれていたのを覚えている。確かに、マッチのラベルを色々と調べてみると、心惹かれるデザインのもの…

寺山修司

死体のある風景 作家とシャンソン① 寺山修司「かもめ」 フランスのシャンソンには、死体が登場する楽曲がわりと多い。 日本で、そのことがよく知られるようになったのは、1951年の ムルージ「小さなひなげしのように」(Mouloudji「Comme un p'tit coquelicot…

三島由紀夫

死体のある風景 作家とシャンソン② 三島由紀夫「造花に殺された船乗りの歌」戦後日本を代表する作家の三島由紀夫。彼は執筆活動にいそしむかたわら、映画に出たり、ヌード写真を刊行したりと、いわゆる「出たがり」でもあった。 そんな彼は、自作のシャンソ…

森田宏

シャンソンを演じるー森田宏トリビュートライブかつて、フランスの歌手イヴ・モンタン(Yves Montand)は、リサイタルのセットリスト1曲ごとに振付を考え、長期間の公演であっても、それを一糸乱れず連日こなしたという。 それを日本で受け継いだのが、森田宏…

吉原幸子

「吉原幸子とシャンソンー現代詩はシャンソンになり得るか」戦後活躍した女性詩人に、吉原幸子という人がいる。吉原幸子(1932-2002) 東京生。東大仏文科卒。 大学在学中に演劇に親しみ、卒業後は劇団四季に所属した。退団後は、詩人の草野心平が発行する同人…

真咲美岐

真咲美岐の動画を発見!YouTubeの「東映特撮チャンネル」では、往年の特撮番組が毎週投稿されている。 今週投稿されたのは、1976年放送の「がんばれ!!ロボコン 91話」。この番組に、女優の真咲美岐がゲスト出演している。真咲美岐は、1927年神戸生まれ。宝…

吉屋潤

K-Chanson 吉屋潤のこと日本で作られた楽曲で、フランスのシャンソンっぽい雰囲気のものを「J-Chanson」と呼ぶ人がいるようだ。 訳詞家の永田文夫が監修した「愛しのシャンソン」というCD全集を見れば、フランスのシャンソンに混じって、水原弘「黄昏のビギ…

奥則夫

奥則夫のカンツォーネ、時々シャンソンNHKのテレビ番組「世界ふれあい街歩き」を観た。この日、番組で取り上げられたのはイタリアのジェノバ。地中海に面した坂の多い街で、気候を生かした農園を耕す家族の映像などを観ると、ふいにカンツォーネが聴きたくな…