平成も今日で終わるが、何か平成らしい日本のシャンソンのアルバムはなかったろうか、と思っていると
レ・モーヴェ・ギャルソンヌ「愛の賛歌」
が目に入った。
レ・モーヴェ・ギャルソンヌは、2001~2年に活動した女性3人組のユニットである。ユニット名はフランス語だが、メンバーは日本人だ。平成のJ-POPらしいロックチェーンの編曲で、シャンソン(というかフレンチポップだ)をカバーしている。高校の学園祭を想起させるような賑やかなサウンドだ。思えば、J-POPのようなサウンドや歌い方でシャンソンに取り組んだのが、彼女たち以外皆無なのは不思議である。日本のシャンソンは、歌謡曲のように歌うのがふさわしいのだろうか。
収録曲
男と女 (訳 高英男)
アイドルを探せ (安井かずみ)
愛の賛歌 (以下 岩谷時子)
薔薇色の人生
夢見るシャンソン人形
サントワマミー
このアルバムの核は、エレキギター1本で歌う「アイドルを探せ」で、かっこいいかつ聴かせるサウンドに仕上がっている。
ちなみに、レ・モーヴェ・ギャルソンヌが知られるきっかけとなったのが、清涼飲料「桃の天然水」のCMであった。CMのタイアップがきっかけで曲が周知されたというのに、平成らしさを感じる。短いCMで流れた曲のサビが耳に入って流行していく…、思えば平成は刹那の時代だった。
元号が変わったところで、何かが変わるとは思わないが、「令和らしい」シャンソンは登場するのだろうか。令和は「らしさ」を醸造することができる年月になるだろうか。