シャンソン愛

峰艶二郎(みね えんじろう)による、シャンソンについて綴るブログです。著書『戦前日本 シャンソン史』(1500円.完売)。htmt-mth@ezweb.ne.jp

木島新一

☆ 木島新一と「Mavie 80」

先日、東京の「アバンセ」というお店に飾られている高野圭吾の絵の画像をアップしてくれた方がいた。その投稿の中に、高野、くどうべん、木島新一の3人が肩を組んでる写真があった。
「くどうべんは知ってるけど、木島新一って誰だったかしら」と考えていたら、偶然その日にオークションで落とした「Mavie 80」というレコードに収録されていた人であった。
昨日レコードが届いて、中に木島新一について記載されていたので、紹介したい。

木島新一
俳優。青年座、NLT、浪漫劇場を経て、フリーの俳優として活躍する。インターネットには、浅草オペラにも所属していたと書いてあるが、真偽を確かめることはできなかった。
ミュージカルに多く出演していたことから、歌の道にも入り、シャンソンを歌っていた。

木島が、シャンソン歌手として出演していたのがシャソニエ「Mavie(マビー)」であった。
Mavie」は、銀座にあったシャソニエで、歌手の日高なみが店主をつとめていた。開高健遠藤周作などの文士に愛された店だったが、2007年に閉店している。

Mavie 80」は、店のライブの実況録音盤で、当時の店内の雰囲気が感じられる1枚だ。
歌手が歌いながら客を煽って、客がワーワー騒いでて、口笛がなったり、掛け声が上がったりと、とても楽しそうなのが伝わってくる。

レコードには、木島の「見果てぬ夢」「お酒天国」が収められている。「見果てぬ夢」はミュージカル「ラ・マンチャの男」の挿入歌。「この世で一番の狂気は、今の自分にあぐらをかいて、あるべき自分を追い求めないことだ!」と叫ぶセリフに、客が「そうだっ!」と呼応するのが印象的な熱い歌だ。
「お酒天国」ははじめて聴くシャンソンだったが、木島の堂々とした歌いっぷりに客が盛り上がっていた。
この2曲を聴いて、木島の熱い人柄を感じることができた。機会があれば、他の曲も聴いてみたい。

せっかくなので、「Mavie 80」の紹介もしたい。

日高なみ「回転木馬
笹原春美「天使のセレナーデ」
井関真人「自転車」
深江ゆか「うそ」
水城淳「ラ・ボエーム

日高なみ「マッキー・メッサー」
蛯原良平「旅芸人のバラード」
池田純子「さくらんぼ実る頃」
木島新一「見果てぬ夢」 「お酒天国」
日高なみ「Mavie
ピアノ 土岐雄一郎

店主である日高なみは、「なかにし礼シャンソン詩集」ではじめて聴き、娼婦の歌と他の歌で声色を使い分けて歌っているのが印象的だったが、このレコードでもそれが発揮されている。また、井関や蛯原のコミックなシャンソン、水城や深江の味わいあるシャンソンが良かった。
あと個人的には、土岐雄一郎の伴奏をはじめて聴いた。かつて菅美沙緒に認められて伴奏、作曲、訳詞と幅広く活躍した人物だが、非常に繊細な演奏で聴き入ってしまう。

まるで時を超えて、「Mavie」にいるような思いになるアルバムであった。