シャンソン愛

峰艶二郎(みね えんじろう)による、シャンソンについて綴るブログです。著書『戦前日本 シャンソン史』(1500円.完売)。htmt-mth@ezweb.ne.jp

小津安二郎

東京物語」などで知られる映画監督の小津安二郎は、昭和初期からシャンソンを愛聴していました。
彼が好きだったのは、

ミスタンゲット「サ・セ・パリ」
ラケル・メレ「ヴァレンシア」
(Mistinguett「Ça c'est Paris」
Raquel Meller「Valencia」)

というシャンソンでした。

戦後、小津は音楽家斎藤高順にこれらと似たような楽曲を作らせて、自身の映画作品に挿入しました。
そのタイトルは「サセレシア」。
小津自身による命名で、無論「サ・セ・パリ」と「ヴァレンシア」のタイトルを掛け合わせたものです。

「サセレシア」を聴いてみますと、タイトルだけでなく曲調まで原曲にそっくりで、盗作云々を超越した清々しさがあります。
小津安二郎を通じて、シャンソン愛の色々なカタチを確かめることができます。