シャンソン愛

峰艶二郎(みね えんじろう)による、シャンソンについて綴るブログです。著書『戦前日本 シャンソン史』(1500円.完売)。

篠原涼子さん「恋はシャンソン」

俳優の篠原涼子さんは、1990年の16歳の時に「東京パフォーマンスドール」というアイドルユニットでデビューした。
94年に小室哲哉さんのプロデュースでリリースした「恋しさと せつなさと 心強さと」がヒット。
2000年代からはドラマ「アンフェア」ハケンの品格」などで俳優としての地位を確立してゆく。

そんな篠原さんのファーストシングルは91年リーリースの「恋はシャンソン」という楽曲だ。
謡曲にありがちな「○○シャンソン」のたぐいかと思いきや、なんとクロード・フランソワの「Chanson Populaire」のカバーだったので驚いた。
訳詞者は「in voice(江藤孝子、川口淳一)」というユニットで、「東京パフォーマンスドール」の作詞曲、編曲を担っていたらしい。

私は歩く 今日も
あなたを探し
昼も夜もない この街で

噂ばなしをたよって
握りしめてる アドレス
あとの事は考えてない
ただ今は 会いたい

抱きよせられて 
あたためあって
Ah ただそれだけで
女はしあわせ感じるの
やさしい言葉
かわすくちづけ
Ah ただそれだけで
女はよろこび感じるの

それさえも許されないのなら
私は飛び出したい 空の上
闇の国

もう一度だけ
あつく燃えたい
男と女のめくるめく恋は
シャンソンだから

愛した男に再会できないなら死んでやる、という歌詞である。
ここから90年代初頭の時代の雰囲気などを感じ取ることはできないが、当時から住所録のことを「アドレス」と呼んでいたことが意外であるし、「女は○○というもの」というフレーズは、現在では絶えて久しい。

この楽曲の聴きどころは、篠原さんのイメージがデビュー当初から一貫しているのが分かることだ。
この楽曲の歌声を聴くだけで、すぐに「篠原涼子!」と気づくし、この延長に俳優の篠原さんの印象的な声色があるのかと思うと、実に感慨深い。
篠原さんのキャリアが、この取るに足らないシャンソンを珍曲に高めている。

ちなみに、「恋はシャンソン」のカップリングは「カメレオン・カフェ」。
これは、イタリアのディスコミュージック、D.D.soundの「Café」のカバーである。
17歳の少女のファーストシングルが、シャンソンカンツォーネのカバーというのは、ずいぶんとシブい趣向だとは思わないか。