シャンソン愛

峰艶二郎(みね えんじろう)による、シャンソンについて綴るブログです。著書『戦前日本 シャンソン史』(1500円.完売)。

リーヌ・ルノー in TOKYO

1992年、リーヌ・ルノー主演の本格的なパリのレビューが、東京で上演されたことがあるのを知り驚いた。

『月刊ミュージカル 1992年12月号』によれば、同年の10月31日、11月1日にシアターコクーンにて、「パリ発!シャンソンレビュー!サ・セ・パリ」が、1日2回公演で催された。
主催は、東京とパリの友好都市提携10周年を記念して、鈴木 俊一東京都知事(当時)が会長だった「東京ルネッサンス推進委員会」がつとめた。

出演は、リーヌ・ルノーとパリのキャバレー「パラディ・ラタン」のコメディアンだったセルジョ(Sergio)、「パラディ・ラタン」の専属ダンサー14名、演奏は岩間南平バンドとある。
演出と振付は、「パラディ・ラタン」のデビット・ムーア。
海外公演のための臨時の一座ではあったが、スピードと変化に富んだ演出で、全17場2時間の上演であった。
観覧料は低価格の4000円。
しかし、宣伝不足のせいか空席があったという。

雑誌には、音楽評論家の瀬川昌久によるレポートが掲載されている。
リーヌ・ルノーは、オープニング曲「セ・サ・ラ・レビュー」を歌ったあと、代表曲「カナダの私の小屋」をはじめとするルル・ガステ作品(リーヌ・ルノーの夫で作曲家)を披露したらしい。
さらに、「フレンチ・ミュージックホール」という場面では、ミスタンゲット、イヴ・モンタン、ジョセフィン・ベイカー、モーリス・シュヴァリエといったミュージックホールを盛り上げた名歌手たちのメドレーを歌った。
この場面はYouTubeに動画があり、面白いのはリーヌ・ルノーがモーリス・シュヴァリエのモノマネをしながら「ヴァランティーヌ」を歌うシーンである。
正直これまで気に留めてこなかったシャンソンだけに、筆者は動画を見ながら「そういえば、ヴァランティーヌってこんな歌詞だったなー」と思い出した次第。
他にもYouTubeには、リーヌ・ルノーが青いマーメイドドレス姿で「フルフル」などを歌う動画がある。
とはいえ、レビューは舞台全体が映ってなんぼのものだと思うので、出演者のアップばかりを狙うカメラワークは残念である。
ちなみに共演のセルジョは、客をステージに上げて「さくらさくら」を歌いながら、客のネクタイ、時計、財布をとり上げるという芸をしたという。

瀬川は、この公演を「スター歌手とコメディー・アクターとダンサーとの三つのコンビを巧みに配合して見せた点に、フランス・レビューの一典型を改めて認識出来た」と評価する。
そして、「このような形のスター中心のレビューは、今後二度と来日出来ないだろう」と予言をするが、30余年経ってもそれは的中したままである。

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