シャンソン愛

峰艶二郎(みね えんじろう)による、シャンソンについて綴るブログです。htmt-mth@ezweb.ne.jp

小貫和子様とのご縁

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小貫和子様とのご縁

人と人との出会いを通じて、未知の世界へ導かれる、ということがあるようです。

小貫様とFacebookで知り合い、色々なお話を伺うようになったのは、ここ一年くらいだと思います。小貫様は、長年に渡りシャンソンの歌い手として活躍されています。ライブのプログラムをご覧いただいて分かるように、そのレパートリーには圧倒されます。
そのひとつひとつを、小貫様は長年かけて沢山のレコードを聴き、ご自分の鋭い感性をもってレパートリーに選ばれてきました。
私はその鋭意に深く感銘を受けております。

小貫様は、同時に私を未知の世界へ誘ってくださいます。
ひとつは書籍の刊行でした。それまで、自分が本を作るなど考えもしなかったことでしたが、小貫様に強く勧められた途端に、そのテーマが目の前に現れました。こうして実現したのが、拙著『戦前 日本シャンソン史』でした。

もうひとつは、シャンソンの訳詞です。
私は表現者になるつもりは一切ないので、これは実現しないだろうと内心思っておりました。
しかしある時、「あっ、これは訳詞をつけて、広く聴いてもらいたい」と思う楽曲が現れました。そして、慣れぬ手付きで仕上げたものを、小貫様に校閲いただきました。
翻訳、作詞は素人の私が仕上げた拙いものが、小貫様の感性が留めてくださったのか、改めて訳詞のご依頼をしてくださいました。

今回手掛けたのは、今年生誕100年を迎えるムルージ(Mouloudji)のシャンソン「L'amour L'amour L'amour(愛、愛、愛)」です。
この楽曲を小貫様は、歌い手と客席がひとつになって歌いたいと仰りました。
しかしながら、この楽曲の歌詞は非常に難解で、愛の長所と短所が手の込んだ詩的な歌詞で綴られていました。とても日本人が口ずさめるような内容ではないと判断しました。
そこで、私は「愛は苦しみであり、求めるものであり、喜びである」という3つのテーマに絞り、訳詞をしました。また歌詞に話し言葉を織り交ぜて、親しみが湧くようなものになるよう、工夫もしました。
とはいえ、実際にメロディと歌声に詞が乗ったとき、どのようなハーモニーになるかは、お聴きになる皆様に委ねなくてはなりません。何せこれが、私の言葉に息が吹き込まれる初めての時なのですから。

私は、今回の小貫様のライブにどうしても伺うことができず、歯がゆさを感じています。ですが、是非とも皆様のご予定に組んでいただければ幸いです。
心より盛会をお祈りいたします。

峰 艶二郎 拝