シャンソン愛

峰艶二郎(みね えんじろう)による、シャンソンについて綴るブログです。著書『戦前日本 シャンソン史』(1500円.完売)。htmt-mth@ezweb.ne.jp

2022-01-01から1年間の記事一覧

シャンソンの日に寄せて 伊藤一恵さんのこと

12月29日「シャンソンの日」に寄せて シャンソン歌手の深江ゆか様の御芳書『Adieu銀巴里~歌いつづけて~』(ゴマブックス株式会社)を、拝読しました。深江様の歌い手としての半生が、銀座7丁目にあったシャンソン喫茶「銀巴里」(1951~90年)の歩みとともに…

悼 堀内環様

悼 堀内環様 10月24日、シャンソン歌手の堀内環様が亡くなられたという。私は、氏の生前のステージを拝見することは叶わなかった。だが、手持ちのCDアルバムを見ると、フランス民謡から、「辻馬車」などの戦前のシャンソン、さらには戦後のジャック・ブレル…

悼 藤田順弘氏

悼 藤田順弘氏 世の中には、ありとあらゆる残酷さに溢れている。例えば、戦争はもちろん、差別や迫害、身近なところでは突然の余命宣告など、挙げればきりがない。こういった残酷さを楽曲として歌うとすれば、思想的になったり、啓蒙的になったりするかもし…

シャンソン歌手は、ドイツ・カバレットソングを歌うか

シャンソン歌手はドイツ・カバレットソングを歌うか 「Cabaret Song Night」於・神戸「サンジャン」を鑑賞しました。 これは、第一次世界大戦後からナチスドイツ成立までの、1920~40年代にドイツで活躍した作曲家の楽曲を特集したコンセプトライブでした。…

『がいこつ亭 109号』

札幌在住の三神恵爾様が発行する個人文芸誌『がいこつ亭 109号』に寄稿しました。今回は、佐賀県唐津市で観た青木繁の絵画や唐津焼の古い器について書きました。よろしければ御高覧ください。 誌面では、三神様の掌編「目の森」が、とても印象的でした。森の…

クルト・ヴァイルの本

クルト・ヴァイルの本 最近、ドイツの作曲家クルト・ヴァイルに関する本を立て続けに読みました。日本のシャンソン歌手のなかには、彼の楽曲をレパートリーにする方が見受けられますが、私は彼のことを何も知らなかったからです。 岩淵達治、早崎えりな『ク…

井関真人ゑがく、その美の世界

井関真人ゑがく、その美の世界 10月10日(月)、札幌のパークホテルで開かれた「ブーケ・ド・シャンソン」というディナーショーに伺いました。私は受付係でしたが、無理を言って、トリをつとめられた井関真人さんのステージを拝見させていただきました。 井関…

石井好子・生誕100周年「フランス こどものうた」

シャンソン歌手の故・石井好子さんの生誕100年を記念するCDアルバム「フランス こどものうた」(キングレコード.2200円)を聴きました。 こちらには、フランスの童謡をはじめ、シャンソンを子供向けの内容の歌詞に仕立てた楽曲が収録されています。石井好子さ…

88年「シャンソン・ア・神奈川」

興味深いカセットテープを見つけました。『ブーケ・ド・シャンソン 愛の讃歌/枯葉』 (CBS/SONY 1994年)こちらのテープは、1985年12月12日に神奈川県民大ホールで開かれた「シャンソン・ア・神奈川」(主催・大庭音楽事務所)の音源が収録されています。 さす…

伊東はじめさんの55周年記念コンサート

薔薇色のランナー 伊東はじめさんのコンサート映像昨年開催のシャンソン歌手・伊東はじめさんの55周年記念コンサートのDVDを購入させて頂きました。かねてより私は、伊東はじめさんのコンサートのCDやYouTubeでの動画を通じて、そのステージに魅了されており…

『シャンソンマガジン 2022年秋号』

『シャンソンマガジン 2022年秋号』が発売されました。 Singer hiromiさんの「北のパリ祭」の寄稿に併せて、私の拙文も掲載して頂きました。 よろしければ、御高覧ください。特集のクレール・エルジエール(Claire Elzière.1971-)は、現役のフランスの女性歌…

『がいこつ亭108号』に寄稿しました

札幌在住の三神恵爾様が発行する個人文芸誌 『がいこつ亭 108号』 に寄稿しました。「歌謡と侵略ー和製シャンソンとしての「支那の夜」」渡辺はま子さんの戦前のヒット曲「支那の夜」は、フランスのシャンソンをもとに作られたという内容です。最近は、シャ…

戦時下の手風琴円舞曲

戦時下の手風琴円舞曲太平洋戦争中、日本には「ニッチク」というレコード会社が存在した。 これは、「コロムビアレコード」のことで、戦時下に敵国の社名を使うことができなくなり、和名として「日蓄工業株式会社」と改め、通称「ニッチク」と表記したもので…

大盛況だった「北のパリ祭」

昨日、大盛況だった「北のパリ祭」。 私は裏方として参加しました。とはいえ、私は舞台関係者ではないので、舞台裏でやらなければならないことは何も分かりません。 ステージの中心を決めるバミ(目印のシール)の貼り方、マイクのコードの巻き方など、ひとつ…

私の応援する催事

今週は私が応援する催事が目白押し。6月23日(木) 「ピアフとアズナブールの夜」 @銀座「蛙たち」 ミュージカルの世界に身を置かれるNAOMIさん、本坊綾子さん、オペラのご経験がある髙野ピエールさん、声優のレオンさんが、ピアフとアズナブールのシャンソン…

漫画「黄昏流星群」のシャンソン

岩見沢「シャンソン酒場People」の興奮が冷めやらぬなか、次ような漫画があるのを思い出しました。弘兼憲史の漫画「黄昏流星群」は、中高年の男女の恋愛を通じて、折り返し地点の人生をいかに生きるかというテーマを描いた短編作品群である。 その単行本の第…

岩見沢「シャンソン酒場People」

北海道岩見沢に「シャンソン酒場People」というお店があることは、数年前からネットを通じて知っていました。とはいえ「シャンソン」と銘打っても、シャンソンの店とは限りません。 ずっと気になっていたので、先日思いきって連絡してみたところ、マスター様…

パリのジャズ物語り

1994年10月に発売された雑誌『STUDIO VOICE』の特集は「パリのジャズ物語り」。 フランスのジャズの歴史について、多数の執筆者が寄稿している。シャンソンとジャズの関わりについても触れられていて、興味深く読んだ。まず触れておきたいのは、ジャズの発祥…

『シャンソンマガジン 2022年夏号』

シャンソン専門の定期購読誌『シャンソンマガジン 2022年夏号』(歌う! 奏でる! プロジェクト)に、寄稿しました。峰 艶二郎「3杯のカクテルグラスー越境の歌手・ダリダ」エジプトからフランスに渡って、シャンソンの歌姫として活躍したダリダ(Dalida)につ…

塚本邦雄とシャンソン

塚本邦雄とシャンソンネットニュースに、辻原登氏による 塚本邦雄『薔薇色のゴリラ―名作シャンソン百花譜』(北沢図書出版) の書評が載っていた(初出は2014年)。塚本邦雄は、短歌の歌人。戦後の現代短歌の巨匠である。作歌の技術力はもちろん、日本の古典か…

『がいこつ亭 107号』に寄稿しました

札幌在住の三神恵爾様が発行する個人文芸誌 『がいこつ亭 107号』 に寄稿しました。峰艶二郎「運命従順主義ーマルセル・ムルージ『エンリコ』を読む」今年生誕100年を迎えるシャンソン歌手のマルセル・ムルージが、1945年に書いた自伝的小説の書評です。 よ…

5月よりラジオ番組を持ちます

ラジオ番組『ラ・シャンソンー世界の音楽をあなたにー』この度、毎週土曜日18~19時にラジオ番組を持つこととなりました。 札幌在住の歌手、Singer Hiromi様よりお声をかけていただき、一緒にパーソナリティーをつとめます。 私が以前「シャンソンを後世に伝…

シャンソン歌手・あみ様のライブに行きました

苫小牧のシャンソニエ「カプリス」さんにゲスト出演されている、あみ様のライブに行ってきました。 あみ様とは、Facebookを通じてお話しさせていただいたりしておりましたが、実際にお会いするのははじめてでした。 諸事情で、1部で失礼してしまい申し訳な…

宇井あきら 作曲集

シャンソン歌手にして作曲家としても活躍した宇井あきら。大正10年、東京生まれ。武蔵野音大卒業後、NHKの専属歌手となり、オペラ歌手としても活躍する。 昭和28年、作曲家の高木東六のもとでシャンソンを学び、シャンソン歌手としてデビューし、歌手として…

ニッチクレコード「夜のタンゴ」

久々にSPレコードを買った。 ニッチクレコードから発売された、ドイツの女性歌手、ポーラ・ネグリの「夜のタンゴ」「今日幸せは来ない」。 ニッチクレコードは、コロムビアレコードが、昭和18年~21年にかけて使っていた社名なので、このレコードは戦時中に…

エッフェル塔の嘆き

「エッフェル塔の嘆き」1940年(昭和15年)6月、フランスがナチスドイツに占領されたのを、当時の日本人はどのように思っていたのか、を知りたいと思った。私が入手したのは、昭和15年9月発売の雑誌『カメラクラブ』(合資会社アルス)。これは写真に関する雑誌…

「Song Book 春のめざめ」を観に行きました。

「Song Book 春のめざめ」を観に行きました。札幌在住のシャンソン歌手・NAOMIさん主催のライブに伺いました。 ご出演は、八田朋子さん、レオンさん、ピアニストの平岡健一さん、アコーディオニストの田村賢太郎さん。八田さん、レオンさん、田村さんは、東…

追悼 仲代圭吾さん

シャンソン歌手の仲代圭吾さん、3月21日に逝去されたとのこと、ご冥福をお祈りします。私が最初の仕事を辞めて実家に敗走する車中で、仲代さんのCDをエンドレスで掛けたのが、まず思い浮かぶ。私の人生の1ページには、仲代さんのシャンソンが流れている。札…

田中綾先生が、拙著を紹介してくださいました!

2022.3.20.北海道新聞の日曜版に、文芸評論家の田中綾先生が、拙著『戦前日本シャンソン史』を紹介してくださいました。田中先生は、私の大学時代の恩師です。 私は高校時代から文学や古い音楽などが好きな「変わった子」でした。それゆえ、学校生活は馴染め…

「クミコ×藤澤ノリマサ シャンソンとポップオペラ」

「クミコ×藤澤ノリマサ シャンソンとポップオペラ」 を観に行きました。きっかけは、Twitterでクミコさんと知り合って、昨年開催した「高野圭吾展」の広報に多大なお心遣いを頂いたので、感謝を込めていつかコンサートに伺いたいと常々思っていたからです。 …