札幌在住の三神恵爾様発行の個人文芸誌「がいこつ亭104号」に寄稿しました。
峰艶二郎「世紀末影踏み」
今回は、
伯爵・神山宏『パリのシャンソン酒場綺譚』
という小説の書評です。
この小説には、19世紀末のモンマルトルのシャンソン酒場のヒストリーが克明に描かれており、それを読んだ上で日本のシャンソンの成り立ちと比較してみよう、という内容です。
私は、世紀末のフランスのシャンソンのスタイルを今の日本のシャンソニエでやったら面白そう、ということを書きましたが、それを戦後いち早くやっていたのが越路吹雪さん。初めてのパリのシャンソン酒場に刺激を受けて、帰国後のリサイタルで同じようなことをやったら、全く客に受けなかったそうです。
やはり、時代が追い付かなかったのでしょうね…。
誌面を通読しますと、コロナやミャンマーのクーデターなど、目に見えないまま忍び寄る脅威への不安をテーマにする寄稿者が多いように感じました。文芸誌は時代をうつす鏡であり、そこに文学の力があるように思います。
御高覧いただければ幸いです。