シャンソン愛

峰艶二郎(みね えんじろう)による、シャンソンについて綴るブログです。著書『戦前日本 シャンソン史』(1500円.完売)。htmt-mth@ezweb.ne.jp

シャンソン歌手としての二葉あき子

シャンソン歌手としての二葉あき子昭和歌謡を代表する女性歌手、二葉あき子。 「夜のプラットホーム」や「フランチェスカの鐘」などの代表曲があるが、昭和28年から33年頃は、シャンソン歌手として紹介されることがあった。二葉は、大正4年に広島県で生まれ…

『戦前 日本シャンソン史』発売

残部わずか 『戦前 日本シャンソン史』発売この度、私が長年かけて研究していた、戦前の日本のシャンソンの歴史に関する本を自費出版しました。宝塚の「モン・パリ」「すみれの花咲く頃」、フランス映画の「パリの屋根の下」「巴里祭」、ヒット曲「サ・セ・…

「シャンソンマガジン 2022年春号」

「シャンソンマガジン 2022年春号」が発売されました。北海道には15日に届くので、読むのが楽しみです。この度「セルジュ・ゲンズブール特集」に、拙いながら寄稿いたしました。お力添えくださった方々に、厚く御礼申し上げます。「悪童はセピア色の歌を聴く…

日本のシャンソンと渋谷系

異種婚礼ーシャンソンは「渋谷系」と結びつくか?1990年頃、日本には「渋谷系」と呼ばれる若者文化がありました。これは、渋谷にレコードショップが沢山あったことで、様々な音楽が若者たちの間で流行り、それがファッションなどにも派生したムーブメント(流…

島崎雪子

島崎雪子(しまざき ゆきこ)のこと以前「なんで芸能人ってシャンソン歌いたがるんですか?」と質問を受けたことがある。そのときは、上手いこと答えられなかったので、後日自分なりに調べてみると、あるサイトには 「芸能人のデビュー当時は若さで売ることが…

戦争忌避の歌ー『ボリス・ヴィアン シャンソン全集』

札幌在住の三神恵爾様が発行する個人文芸誌『がいこつ亭 106号』に寄稿しました。・戦争忌避の歌ー『ボリス・ヴィアン シャンソン全集』昨年刊行された 浜本正文訳『ボリス・ヴィアン シャンソン全集』(国書刊行会) の書評です。 ボリス・ヴィアンが遺したシ…

小津安二郎

「東京物語」などで知られる映画監督の小津安二郎は、昭和初期からシャンソンを愛聴していました。 彼が好きだったのは、ミスタンゲット「サ・セ・パリ」 ラケル・メレ「ヴァレンシア」 (Mistinguett「Ça c'est Paris」 Raquel Meller「Valencia」)というシ…

聞かせてよ愛の言葉を?

「聞かせてよ愛の言葉を」という、素晴らしいシャンソンがあります。 原曲は1930年(昭和5年)にフランスでレコード化した、リュシェンヌ・ボワイエの「PARLEZ MOI D'AMOUR」。 そして、昭和7年に日本でもレコードが発売されましたが、そのときの邦題は「甘い…

戦時下のシャンソン

敵性音楽ー戦時下のシャンソン昭和16年に太平洋戦争が始まると、日本で洋楽は駆逐されていく。 とはいえ、開戦当時はそれほどではなかったようだ。なぜならば、軍部が「明るく戦争を乗り切る」という方針を推奨していたからだ。国民に我慢を強いるよりも、明…

黒田進

「日本最初のシャンソン歌手ー黒田進」日本で、シャンソンを専門に歌う「シャンソン歌手」が登場したのは、戦後のことである。宝塚OBの橘薫さん(昭和5年にレビュー「パリ・ゼット」で「すみれの花咲く頃」を歌った人)が、その開祖だ。そして、パリの視察から…

御礼「また来る春ー高野圭吾絵画展」

「また来る春ー高野圭吾絵画展」 短い時間でしたが、無事に終了いたしました。 お力添えと応援を頂いた皆様、そしてご来場くださった方々に、心より感謝いたします。展覧会の様子を動画にしました。 https://t.co/0VejIkniN0よろしければ、御高覧ください。

「また来る春ー高野圭吾絵画展」

「また来る春ー高野圭吾絵画展」シャンソンの訳詞家として知られる高野圭吾さんは、画家としても素晴らしい作品を遺されました。 この度、高野さんの17回忌を追悼し、故郷の札幌で小さな絵画展を開く運びとなりました。高野さんは、他の歌手からシャンソンの…

照井詠三

ジョルジュ・ミルトンをめぐる冒険《下》 ー歌手・照井詠三前回紹介したフランスの歌手で喜劇役者のジョルジュ・ミルトン。 1932年(昭和7年)、彼が主人公「ブーブール」を演じたもうひとつの映画「靴屋の大将(Le Roi du Cirage=靴磨きの王様)」が、フランス…

シャンソンマガジン 2021年冬号

「シャンソンマガジン 2021年冬号」が発売されました。 この度「イヴ・モンタン特集」に、拙いながら寄稿いたしました。お力添えくださった方々に、厚く御礼申し上げます。「PACIENCIAーイヴ・モンタンの生涯」モンタンのアーティストとしての生涯と政治的言…

モン・パパ

ジョルジュ・ミルトンをめぐる冒険《上》 ☆「モン・パパ」巴合戦いまではすっかり忘れ去られているが、戦前の日本でフランスの男性シャンソン歌手、ジョルジュ・ミルトン(Georges Milton)が、大変な人気だったことがある。ミルトンは、1886年(明治19年)フラ…

越路吹雪の肖像画

「越路吹雪の肖像画」昭和31年の雑誌「美術手帖」には、シャンソン評論家の蘆原英了による「シャンソンと画家たち」が連載されている。 内容は、ロートレックが描いたイヴェット・ギルベール、アリスティード・ブリュアンの肖像画、さらにはシャンソンの楽譜…

マサシさん

https://youtu.be/sWa6AktnxmQ10月に亡くなった、札幌でシャンソン歌手として活躍されていたマサシさんの最期のライブ映像を観ました。 数年前、私がたびたびお邪魔しているライブバー「Voice」さんにマサシさんがご出演されたのを機に、華やかなステージを…

『がいこつ亭 105号』

札幌在住の三神恵爾様が発行する個人文芸誌『がいこつ亭 105号』に寄稿しました。峰 艶二郎 「水の悟りーふたたび、ひがしのひとし」ひがしのさんは、フランスの男性シンガーソングライターのジョルジュ・ブラッサンスの影響を受けて、フォークシンガーとし…

日本最初の来日シャンソン歌手

日本最初の来日シャンソン歌手日本で最初に来日したフランスのシャンソン歌手といえば、昭和28年に読売新聞社主催で公演を開いたダミア(Damia)だと言われている。日本でシャンソンがブームになったのは、ダミアの来日がきっかけだったとも言われているくらい…

『シャンソン・ド・パリ』

明るい戦時下ー娯楽としての『シャンソン・ド・パリ』最近マイブームの、戦前のシャンソン史シリーズです。昭和13年、コロムビアレコードより『シャンソン・ド・パリ(Chanson de Paris) 第1集』が発売された。これは、SPレコード6枚組のボックス(というより…

昭和10年頃のシャンソン事情③

昭和10年頃のシャンソン事情 ③戦前のシャンソンブームの立役者・倉重舜介先日入手した、雑誌「音楽倶楽部 パリ流行歌(しゃんそん)特集」(昭和10年7月 楽苑社)を通じ、戦前のシャンソン事情の調査報告をするシリーズ最終回。雑誌を読むと、「シャンソニエール…

昭和10年頃のシャンソン事情②

昭和10年頃のシャンソン事情 ②当時人気のシャンソン歌手先日入手した、雑誌「音楽倶楽部 パリ流行歌(しゃんそん)特集」(昭和10年7月 楽苑社)を通じ、戦前のシャンソン事情が見えてきたので取り上げてみたい。まず見たいのは、この雑誌のタイトルである。 「…

昭和10年頃のシャンソン事情①

昭和10年頃のシャンソン事情 ①日本最初のシャンソンのレコード先日、雑誌「音楽倶楽部 パリ流行歌特集」(昭和10年7月 楽苑社)を入手した。 これを通じて、戦争が始まる前の昭和一桁代の日本のシャンソン事情について見識を深めることができたので、全三回に…

御礼♪無事終了

御礼♪無事終了『生きるーシャンソン歌手・深緑夏代』 ☆生誕100年記念 動画配信二日間にわたり配信した、故・深緑夏代さんのライブ動画は、無事に終了しました。 最終的な再生回数は、669回でした。 こんなに数多く再生していただき、企画者として感無量です…

生きる シャンソン歌手・深緑夏代 生誕100年記念動画配信

『生きるーシャンソン歌手・深緑夏代』 ☆生誕100年記念 動画配信本日より、配信開始しております。 9月24日(金)23時59分まで、YouTubeにて無料でご覧いただけます。アカウント「深緑夏代生誕100年記念」 https://youtu.be/zCsJCTMUdTQ【配信動画】 「シャン…

蜂鳥あみ太=4号

粧(よそお)いは暴力 ー蜂鳥あみ太=4号の夜Facebookを約5年続けて、この投稿が私のシャンソンに関する100本目の記事に当たる。自分なりの信念をもって、記事のテーマは厳しく見極めながら書いてきたつもりだ。塵も積もれば山となる、ひとえに嬉しい。そんな…

吉永小百合のシャンソン

吉永小百合のシャンソン先日、札幌の大丸セントラルにブロマイド専門店の「マルベル堂」が出店していたが、私の好きな浜田光夫さんのブロマイドが1枚も売っておらず、( ゚д゚)ポカーン となる。若かりし頃、小鹿(バンビ)のごとく愛らしかった彼は、映画で吉永小…

生きる シャンソン歌手・深緑夏代 生誕100年記念動画配信

告知です。シャンソン歌手の故・深緑夏代さんが生誕100年を迎えられることを記念し、生前のライヴの動画配信をいたします。深緑夏代さんは、戦後に宝塚歌劇団のトップスターとして活躍したのち、シャンソン歌手として日本のシャンソン史に功績を残されました…

シャンソンマガジン 2021年秋号

「シャンソンマガジン 2021年秋号」が届きました。 この度、拙いながら寄稿いたしました。お力添えくださった方々に、厚く御礼申し上げます。「空飛ぶ大殿ーシャルル・トレネ賛」 「北のパリ祭 第3回公演」御高覧頂ければ幸いです。今回はフランスのシャンソ…

森敦「月山」&岸洋子「月の山」

死体のある風景 作家とシャンソン③ ⛰️森敦「月山」作家の森敦は、1912年に長崎で生まれた。作家の横光利一に師事し、太宰治や中原中也らと同人誌を通じて交流をもった。 45年より、妻の故郷である山形県酒田市に住むも、その後は庄内地方を点々とするように…